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解決事例

消滅時効を主張して根抵当権の設定登記を抹消できた事例

お悩みの問題:不動産登記
担当弁護士:佐藤 寿康

事例

ご依頼者様のところに、ご依頼者様の配偶者宛の手紙が送られてきました。差出人は金融業者で、貸付金の返済をせよ、さもなくば自宅に設定してある根抵当権を実行するという趣旨が記載されていました。
ご依頼者様の配偶者はすでに亡くなられておりました。ご依頼者様はどうすればよいのか分からず、税理士の先生に相談し、当事務所を紹介されて弁護士相談に至りました。

解決までの道筋
弁護士は、ご依頼者様宛に送られてきた金融業者からの手紙の内容やご自宅の登記の内容を確認し、根抵当権設定登記の日付や手紙の内容を踏まえ、金融業者に対する債務が仮に存在していたとしても消滅時効を主張することができる可能性が高いことが分かりました。
そこで、弁護士は、ご依頼者様に対し、消滅時効の主張を行うことが可能であることや時効中断の制度、もし本当に時効中断になっていれば債務の返済方法について改めて検討する必要がある旨をご説明しました。また、根抵当権の他の被担保債権が存在すれば返済方法について改めて検討する必要性が生じる事態になる可能性もご説明しました。
方針についてご了解いただき、ご依頼者様からご依頼を頂戴しました。
ご依頼者様の代理人として金融業者に対し消滅時効であるから債務は現存しない旨の主張を記載した書面を送付しましたところ、金融業者から連絡が来て、根抵当権設定登記の抹消に必要な書類を送ってくることになりました。
送ってきた登記手続書類を司法書士の先生に引き継ぎ、根抵当権設定登記を抹消することができました。

解決のポイント

  • 消滅時効の制度は、時効に必要な期間が過ぎたら自動的に債権がなくなるという建付けになっていません。期間が過ぎた後、債務者側から「消滅時効の期間が過ぎた。消滅時効を援用する。」という趣旨を債権者に告げて初めて消滅時効が成立するという建付けになっています。支払を求める手紙が来たから時効になっていないと決めつけてしまうのはまずいです。
  • 本件では、金融業者が時効中断や別の債務の存在を主張してこなかったので早期解決に至りました。時効の中断(2020年施行予定の改正民法では「時効の更新」という用語になります。)や根抵当権による別の被担保債権の存在の主張が金融業者側からあると、その主張内容を検討して対応を考えなければなりませんでした。

※本事案は当事務所でお取り扱いした事案ですが、関係者のプライバシー保護等に配慮し、事案の趣旨を損なわない範囲で事実関係を一部変更している箇所がございますのでご了承下さい。

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