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解決事例

賃借人でない人物が居住していたことが判明した後、裁判所での和解により建物明渡しを実現した事例

お悩みの問題:家賃滞納以外の建物明渡
担当弁護士:佐藤 寿康

事例

ご依頼者様は、マンションの一室を所有して賃貸していました。契約期間満了後、賃貸借契約更新のための契約書の用紙を送付して、賃借人に対し、記入押印のうえ返送することを求めました。契約書の用紙は返送されてきましたが、その契約書の賃借人欄には、ご依頼者様が初めて見る名前が記入されていました。ご依頼者様は、現在その建物に居住している人物に対して、明渡しを求めることとしました。

解決までの道筋
現居住者に対して、説明を求める趣旨を記載した代理人弁護士名義の連絡文書を送付しました。弁護士は現居住者と面会して説明を受けましたが要領を得ず、かといって任意の明渡しを行う意向を示しませんでしたので、明渡しを求める裁判を起こしました。
裁判は約6か月かかりましたが、裁判上の和解が成立し、強制執行せずに明渡しを受けることができました。

解決のポイント

  • 返送されてきた契約書の賃借人に署名押印されているのが全く関係ない人物であることに気づいた後、すぐに弁護士に相談されたのはよかったです。契約書の記載に気づいてからもそのままにしておくと、ある程度の時間が経過した場合は、ご依頼者様と現居住者との間に黙示の賃貸借契約が成立したと評価され、明渡請求が実現できなくなることがあります。
  • 強制執行手続まで至りますと、合計で100万円を優に超える費用(強制執行手続のために現実に荷物を搬出したり保管したり廃棄したりするために要する費用が大きいです。)を要することが多いです。裁判を行ったとしても、できるだけ任意の明渡しが受けられる見込みを高めるために、裁判手続は和解で解決することが望ましいです。
    もちろん、裁判上の和解が成立したときも任意の明渡しを行わない者は存在します。そのときは、裁判上の和解に基づいて強制執行手続により明渡しを実現する必要があります。
  • 本件では、もともとの賃貸借契約における賃借人は既に行方不明になっており、また現在居住している人物は経済的に苦しいと見込まれたことから、更新料や原状回復費用等の金銭請求については大きな争点にしませんでした。激しく争った末に言い分が認められたとしても、回収可能性が乏しいと見込まれるときは、明渡しを受けるまでに要する時間や費用と比較して優先順位を考慮する必要があります。

※本事案は当事務所でお取り扱いした事案ですが、関係者のプライバシー保護等に配慮し、事案の趣旨を損なわない範囲で事実関係を一部変更している箇所がございますのでご了承下さい。

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