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解決事例

債務完済後に抵当権者が抵当権抹消登記手続きに協力してくれなかった事例

お悩みの問題:不動産トラブルその他
担当弁護士:加藤 貴紀

事例

ご相談者様は会社を経営されており、30年前に会社の運転資金を調達するために親族から金銭を借り入れておりました。金銭を借り入れる際、ご相談者様の経営する会社が所有する不動産があったことから、貸主であるその親族の方を抵当権者、ご相談者様の会社を抵当権設定権者として同不動産に抵当権を設定しました。

その後、ご相談者様は借り入れた金銭を運営資金として会社を経営され、15年かけて借入金を返済しました。抵当権が設定されている不動産を売却する等の予定がなかったことから完済した時点で抵当権設定登記の抹消登記手続きを行わず、現在まで至っておりました。

そして、完済から15年程度経過してから、同不動産を売却する話が持ち上がり、抵当権の抹消登記手続きを行うために元貸主の親族に登記手続の協力を要請したのですが、それまでの間にご相談者様と元貸主の親族の関係性が悪くなっており、登記手続に協力してくれませんでした。

そこで、どのようにすれば抵当権の抹消登記手続きを行うことができるのか当事務所にご相談にいらっしゃいました。

解決までの道筋
抵当権の抹消登記手続きを行うためには、通常、抵当権者と抵当権設定権者が共同申請することが原則になってきますので、抵当権者の協力を得られない場合には抵当権の抹消登記手続きを行うことができなくなります。

そこで、今回は早急に訴訟を提起する方針となりました。今回は弁済を行った証拠が足りておらず、借入金を全て弁済した事実が認定されるか微妙な部分もあったことから、時効期間が経過していることも合わせて主張し、訴訟提起を行いました。

最終的には相手方と交渉することを省いたことからご相談から数ヶ月で抵当権抹消登記手続きを認める判決が出てご相談者様が単独で抵当権抹消登記手続きを行うことができるようになりました。

解決のポイント

債務の完済後も抵当権が不動産についたままという案件は意外と多く見られます。今回は最終的に抵当権抹消登記手続きを認める判断が出ましたが、月日の経過とともに証拠が無くなっていくこともあり、債務を完済しているのに証拠がないから裁判所で判決をもらうこともできないという事態に陥る可能性もありますので、抵当権の抹消のために訴訟を行う必要を感じられた場合には、早急にご相談されることをおすすめいたします。

また、抵当権設定登記抹消登記手続請求訴訟を提起して判決に基づき登記を行う場合、訴状に記載する「請求の趣旨」の記載方法についても工夫をするとその後の登記手続もスムーズに進めることができます。具体的には、一般的には判決で債務の消滅の原因やその消滅の日時(「平成●年●月●日債務弁済を原因とする~」といった記載です)を記載することはありませんが、裁判所にこれらの記載を判決でも記載してもらうように裁判所に主張して行く必要があります。これは、裁判所が登記手続の実務に詳しいわけではなく、こちらから合わせて説明をする必要があることによります。

このように、一見解決策が明快そうな案件でも困難な部分があったり、通常の方法で進めるよりもいい方法があったりしますので、一度お困りの際は専門家にご相談いただくことをおすすめいたします。

※本事案は当事務所でお取り扱いした事案ですが、関係者のプライバシー保護等に配慮し、事案の趣旨を損なわない範囲で事実関係を一部変更している箇所がございますのでご了承下さい。

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