裁判所での和解により建物明渡が出来た事例
事例
借主は家賃滞納が5ヶ月となってしまっています。
連帯保証人に請求をしても、連帯保証人は財産がないらしく、支払に一切応じません。
今後も家賃滞納が増えていってしまいそうですので、できれば借主には出て行って欲しいと考えています。
- 解決までの道筋
- 建物明渡を求めるため、まずは、弁護士名での契約解除及び建物の明渡を求める旨の内容証明郵便を送付しました。
しかしながら、借主は引っ越し先がないとの理由で建物の明渡には応じませんでした。
そのため、建物の明渡を求める裁判を提起しました。裁判を提起して約1ヶ月後の裁判の日に借主は裁判所に出頭しました。
裁判官が間に入っての和解手続きを行った結果、借主は建物明渡をする旨を承諾しました。
そこで、裁判所で正式な書類を作成してもらい、約束通り、裁判所で和解をした日から1ヶ月以内に明渡をすることに成功しました。
解決のポイント
1. 建物明渡の裁判を起こしたとしても、必ず最終的に判決となり強制執行となるわけではありません。
裁判手続きの中で、裁判官が間に入っての和解手続きがなされることが多いです。
そして、和解手続きの中で双方が合意できる案がまとまった場合には、裁判所で合意内容をまとめた書面を作成して手続きが終了します。
このような裁判上の和解による解決の場合、裁判の判決・強制執行と手続きが進む場合と比較して、早期に解決をすることが可能となります。
2. 裁判所での和解の場合、約束を破った場合には貸主は強制執行手続きにより明渡が実現できるルールになっていますので強制力が強いです。
つまり、裁判の判決と同じ効力が裁判上の和解の場合には発生します。
また、裁判所で決めたことは守ろうという意識が働くことが多いので、裁判所外で合意する場合と比較して、借主が約束を守らなくてはならないという意識になることも多いかと思います。
3. 裁判所での判決及び強制執行手続きとなった場合、特に強制執行手続きには高額の裁判所の費用がかかります。
例えば、一人暮らしの賃貸アパートの強制執行手続きでも、事前に50万円程度の費用を裁判所に預けるよう要請されることがあります。
(手続きが終わった段階で使用しなかったお金は返金されます。一部は返金されることが多いです。)
そのため、強制執行手続きを行う費用面での貸主の負担は大きいので、貸主が多少譲歩しても、裁判上の和解による解決が望ましいこともあります。
※本事案は当事務所でお取り扱いした事案ですが、関係者のプライバシー保護等に配慮し、事案の趣旨を損なわない範囲で事実関係を一部変更している箇所がございますのでご了承下さい。