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不動産Q&A

借地・底地Q&A

借地契約に定められた期間が経過すれば、不動産オーナーは借地契約の解約をすることはできるのですか

普通借地契約であれば、正当事由がない限り更新拒絶出来ないので、解約は難しいです。定期借地契約であれば、契約期間の終了によって契約を解約(終了)することができます。

回答者:弁護士 大澤 一郎

困った顔の不動産オーナー

借地権は、原則的に更新される

建物所有目的で人に土地を貸したら、借地権が設定されます。

借地権の契約期間は非常に長期間です。普通借地契約なら最低30年間となりますし、定期借地権の場合、一般の定期借地権なら最低50年間、事業用の定期借地権なら10年~50年の範囲内となります。

このように長期間の契約期間が終了したら、貸し主としては土地を返してもらいたいと考えることも多いでしょうけれど、その場合、契約期間の終了をもって、借地契約を終わらせることができるとは限りません。

この点については、借地契約の種類によって異なります。

借地契約が普通借地契約の場合には、契約期間の終了によっても、当然に契約を終わらせることができません。この場合には、契約の更新が原則となってしまうからです。そして、更新後の契約期間は、最低20年となります。

更新をしないことを更新拒絶と言いますが、更新拒絶をするためには、正当事由が必要になってしまいます。正当事由の判断は厳しく行われるので、なかなか認められにくいです。

正当事由とは?

それでは、借地契約の期間満了時に更新を拒絶出来るための正当事由とは、どのような場合に認められるのでしょうか?

正当事由を判断するときには、双方が土地利用を必要とする事情や従前の経緯、土地の利用状況や立退料の支払いなどが考慮されます。

中でも重要なのは、当事者が土地を必要とする事情です。

たとえば、借主が自分や親族が土地上の建物に居住する必要があるのかや、借主が建物において営業をしている場合にその場所が必要なのか(代替性の有無)、貸し主が土地を売却して生計を維持する必要があるのかなどが考慮されます。

また、建物の利用状況としては、長期間建物が放置されている場合や建物の老朽化が激しい場合、借地人が他にも所有している不動産がある場合、貸し主は他に不動産を所有していない場合などに、正当事由が認められやすくなります。

借地権を設定した経緯やこれまでの借地契約の経過期間、権利金・保証金の有無や金額、地代設定や改定の経緯、地代の滞納の有無なども考慮されます。

そして、最終的に、貸し主から借り主への立退料支払いの有無と金額が考慮要素となります。立退料は、支払えば立ち退いてもらえる、という意味ではなく、補完的な意味合いで必要になるものです。

定期借地権のケース

定期借地権の場合、当初より契約期間が満了したら契約が終了することが予定されています。そこで、期間が満了したら、正当事由がなくても貸し主の側から契約終了の申し入れをすることができます。

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